2012年10月09日

汚れた心 2011伯 ヴィセンテ・アモリン

121009blogy.jpg

終戦直後のブラジル、日系移民同士の対立、抗争です。
日本人同士が殺しあう悲劇です。

根底にあるのは、“否定できない自分”です。
人の性で、哀れな性、でもいつでもどこでも、
自分を、過去から今までの自分を肯定しなければ生きられないのが人です。
そしてそのためには、どんな事実も自己都合に置き換えることを厭わないのが人です。
自分ももちろん同じです。
平時はこのことで問題はありません。

この悲劇の舞台裏は戦前からの多くの積み重ねです。
教育の恐ろしさ、
妬みのはけ口、
自己陶酔する心、
よりどころを失う怖さ、
生きていかなくてはならない運命、
それらの積み重なりが善悪を心から消し去ります。

やってはいけない、本来なら心ある者ならできないことまで、
やることを疑わなくなります。

つくづく人は相対の中でしか判断できないことを、
この映画でまた思い知らされました。


同じカテゴリー(銀幕倶楽部の落ちこぼれ)の記事画像
女のみずうみ 1966日 吉田喜重
冬の小鳥 2009韓/仏 ウニー・ルコント
飢餓海峡 1964日 内田吐夢
天城越え 1983日 三村晴彦
同じカテゴリー(銀幕倶楽部の落ちこぼれ)の記事
 幕末太陽傳 1957日 川島雄三 (2019-11-10 12:17)
 ジョーカー 2019米 ドット・フィリップス (2019-11-08 09:38)
 たかが世界の終わり 2016加/仏 グザヴィエ・ドラン (2019-08-26 09:15)
 ア・ゴースト・ストーリー 2017米 デヴィッド・ロウリー (2019-08-02 09:16)
 長いお別れ 2019日 中野量多 (2019-07-07 12:01)
 郵便配達は二度ベルを鳴らす 1942伊 ルキノ・ヴィスコンティ (2019-06-27 09:08)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
汚れた心 2011伯 ヴィセンテ・アモリン
    コメント(0)