2019年07月07日

長いお別れ 2019日 中野量多



とても良い映画でした。
認知症の昇平(山崎努)が70歳で認知症になり、亡くなるまでの7年間(2007年から2013年)までの家族の物語です。
妻の曜子(松原智恵子)は献身的に介護します。まさに良妻賢母で、昇平を愛しているのですが、それがますます強まる、そして愛を超えて人として崇高になっていく様です。
次女の扶美(蒼井優)と長女の麻里(竹内結子)もますますお父さんを愛するようになります。そして同じく二人とも成長します。
こう書くとあり得ない家族、理想が描かれているようですが、そうではなく、等身大の物語です。

扶美は器用貧乏です。物語では二回失恋します。
気立てが良くて家庭的なのですが、何故かです。でも曜子だけでは補えない昇平の介護で見失った自分を取り戻します。

麻里は夫の新(北村有起哉)と一人息子の崇(杉田雷麟・蒲田優惟人)とアメリカ暮らしです。新はエリートですが、家族の愛し方が解らないそんな人物で、それもあり崇は反抗期に入ると登校拒否に。生真面目な麻里は自己を責めます。実家とのPC通信で、もうだいぶ認知症が進んでしまった昇平にすがります。「私達もお父さんとお母さんのようになりたかった」
そんな麻里が少し逞しくなり、新も崇もちょっとだけ変ります。

そういった登場人物の機微の変化が丁寧に描かれていて心地よいのです。
そして無駄がない脚本です。


人生の儚さがテーマですが、儚いから美しいし、人ができることは限られているから尊いと投げかけられます。
心が洗われます。








追伸
7/7は「小暑」です。二十四節気更新しました。
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小暑


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