2019年11月10日

幕末太陽傳 1957日 川島雄三


何度観ても、その精緻さに感心、歓心します。

時は幕末の品川の遊郭、街では尊王攘夷派と幕府が一触即発の中、町人がしんなり強く生きる、武士の理屈は机上だと言い放つ、この普遍の構図を、佐平次(フランキー堺)が大活躍することによって、痛烈に痛快に川島雄三は言い放っているのですが、それを傑作喜劇として作り上げています。

そのテーマに沿って「居残り佐平次」を中心に、「品川心中」「五人廻し」「お見立て」「三枚起請」これらを入れ込んでいるのですが、よくも見事に破綻なく物語として纏めています。落語好きだからもありますが、「文七元結」や「付き馬」のテイストも入り嬉しいばかりです。

そしてリズムが良い、佐平次のキャタクターが良くて、その動きがスピーディーでまた良いです。

そして随所に川島雄三にある暗部が切なく想える映画で、そこも彼の作品好きにはたまりません。


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幕末太陽傳 1957日 川島雄三
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