2022年06月30日
シネマ歌舞伎「女殺油地獄(仁左衛門)」

一世一代の名舞台でした。
シネマ歌舞伎だから観ることができましたし、
シネマ歌舞伎だから仁左衛門の所作も仕草も表情もズームアップで観ることができます。
そして、それを活かすのは浄瑠璃と、相手役です。
みていて仁左衛門の寿命が縮まるのではという鬼気迫る舞台は、こちらまで動機が高まります。
凄みがある歌舞伎でした。
単なる市井の凡人が狂気に変わっていく怖さは、他にもありますが、この上ない切実さでした。
2022年06月29日
2022年06月28日
2022年06月27日
2022年06月26日
2022年06月25日
2022年06月24日
【6月 大歌舞伎】ふるあめりかに袖はぬらさじ

お園(玉三郎)が出ずっぱりの一人芝居ともいえる歌舞伎でした。
内容はシニカルでコミカルです。
長年多くの舞台で上演されていたことが納得の普遍的な話です。
幕末が舞台です。
遊女の亀遊がアメリカ人に身請けされる話になり、恋人と添い遂げられなくなるので自害します。
その真相とは違う瓦版がきっかけで、亀遊は伝説の攘夷の遊女として祭り上げられます。それは店にとって格好の宣伝になります。また最初はそれを否定していたお園ですが、皆が“伝説の攘夷の遊女”に対して、夢や希望や慰めや野次馬根性や、それぞれを多くの人が求めるために、それに応えるためにお園が“伝説の攘夷の遊女像”をそれに合わせてどんどん脚色していきます。
面白いけれど怖いです。
こうやって事実と真実がかけ離れていくのです。
でも、お園は、最後には亀遊の元の姿を想い憂います。
お園の演じ方で、この芝居は多くの面が出てくるから、そして普遍的だから、多くの舞台となっているのでしょう。
玉三郎お園も魅力的でしたが、他のお園も観てみたくなりました。