2019年06月27日

郵便配達は二度ベルを鳴らす 1942伊 ルキノ・ヴィスコンティ



年の離れた嫌らしい夫ブラガーナに辟易していたジョヴァンナは夫とは真反対の、男として魅力がある出合ったジーノに惹かれ、彼と共謀して夫殺しをします。その顛末を徹底した心理劇として描いています。

突然現れたジーノに惹かれるジョヴァンナの心はブラガーナの醜さで匂わせ、その後ジーノにいくらせがまれても、ブラガーナが築いた金の成る木の飲食店を手離そうとしない心は、その夫への憎しみと人間が持つ自己を正当にする気持ちで表されます。
逆なのはジーノで、美人のジョヴァンナをモノにできた喜びがあり、そのジョヴァンナの頼みであり、また自分も経済的に豊かになりたい悪魔の囁きでブラガーナ殺しの片棒を担ぐのですが、彼はその行為の前後で全くの別人のような心持になります。
それもジーノはジョヴァンナと良い仲になった後に放浪の旅に出るシーンを入れること、スペインという人物を登場させることで、上手く表現されます。
そんなジョヴァンナから逃れたいジーノは一度はふと知り合った若いアニータになびきますが、でもやはりジョヴァンナとは離れられない、もう一度やり直しを決意したが、もう坂から転げ落ちるしかなくなります。
自業自得の二人ですが、突き動かされる情と引き返せない心理と幸せを求める心を、観る者にこれでもかと投げかけてきます。



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