2010年10月20日

キャタピラー 2010日 若松孝二

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久蔵は手も足も失い、精神も錯乱して帰還した。
お国のために尽くした軍人として軍神と祀られた。
しかしそれは、
お国のためでなく、私利私欲の結果だった。

太平洋戦争に大義名分は、久蔵が軍神として祀られるのと同じ構図です。
大日本帝国が引き起こした戦争は、私利私欲でしかなかった。

妻(寺島しのぶ)には、軍神久蔵と過ごす日々が待っていました。
戦争で日本が強い時から敗戦まで。
軍神久蔵を時にあがめ、時に憎み、時に自分を恥、
時に・・・。
妻の姿は当時の国民です。

国が総てをあげて行った戦争は、
久蔵と同じ姿に、心になっただけでした。

妻はただただ時が過ぎるのに合わせて必死で生きるしかなかった。

あの戦争を一組の夫婦の姿として映します。
大きなフレームで全体を映すのではなく、その裏側にあるものを、
夫と妻の悲劇の生活になぞらえて、身近に実感できる生活観として、
訴えてくる映画でした。


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