2018年11月08日

スマホを落としただけなのに 2018日 中田秀夫



スマホを落したらえらい事になることは解っているけれど、よりによってとんでもないPCオタクでサイコパスに拾われたので、金銭だけでなく、命まで落としそうになる話です。

スマートフォンはその個人の分身だという台詞がありますが、確かにそうです。それとSNSのつながり問題にも言及していますが、まあ、今ではかなりSNSの広がらなさは世間では認知されているでしょう。

そんなネット社会のオタクがサイコパスを持ち合わせていたという犯人設定が面白いです。その犯人に主人公カップル麻美(北川景子)と富田(田中圭)が狙われます。
犯人は黒髪の美女を狙う連続猟奇殺人魔で、犯人と二人のパートと、警察側が犯人を負うパートで話は進みます。
その警察側にもPCオタクでしかも犯人同様の境遇だった加賀谷(千葉雄大)がいるということで対決になります。
そして、麻美にも秘密がありと、かなり捻った内容です。

犯人と加賀谷はどちらも母親から幼児虐待を受けていた過去があり、それが犯人を猟奇殺人に駆り立てます。それで加賀谷は犯人像を掴みます。
それにしてもとても似通った環境、この場合は劣悪な「あんたなんか産まなければよかった」という子供が母親から絶対に言われたくない絶望の生育の仕方だった犯人と加賀谷が、全く違う育ち方をしたことにとても驚きます。
“三つ子の魂百までも”ですから犯人を悪魔にした原因はもちろん母親にあります。けれど加賀谷は悪魔にはならなかった。
加賀谷には母親以外に彼を愛する人が、しかも強烈にそれを加賀谷に届けようとする人がいたのか、彼自身が乗り越えようと必死だったのか、多分その両方なのでしょう。
この二者の違いがとても興味深かったです。

また、麻美の過去も壮絶なのですが、麻美はそれを乗り越えようと足掻いていて、足掻くだけでなく、それを現実に手にできる(富田の愛で)物語でもありました。


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