2018年04月09日

シェイプ・オブ・ウォーター 2017米 ギレルモ・デル・トロ

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今を憂うメッセージが込められた、大人のファンタジーで、世の中から疎まれがちになってしまう女性と、人間ではない存在が結ばれる愛の物語です。

1962年のアメリカ、政府の機密を扱う研究所が舞台です。
口が聞けない(耳は大丈夫)イライザ(サリー・ホーキンス)はその研究所に清掃員として勤めています。
そこへ、アマゾンの奥地では神と崇められているという半魚人が研究材料として運ばれてきます。イライザはその半魚人に何故か惹かれていきます。

1962年ですから、冷戦の背景が強調されていたり、当時の映画が上映されています。そして、二人の敵となる男ストリックランド(マイケル・シャノン)は当時の勝組みの価値観を持った典型的な男で、もちろん憎まれ役です。

大人のファンタジーなので、暴力と性描写があります。それがあるので、ファンタジーなのですがリアルに愛の話として響きます。
また、イライザが口が聞けない、手話で会話をするのですが、他人はもちろん半魚人ともで、ここは憎い演出で、言葉は当然通じないし、手話でも通じないのでしょうけれど、手話は表情も仕草も伴うし、だから半魚人とも通じるし、実は普段の普通の会話も言葉なんてどうでも良いともとれますし、実際そうです。

ストリックランドは、当時も今も同じ危うい社会情勢が発動した暴力で、二人の純愛を引き裂く、それは世の中の一方的な道理からでもあり、世間の強い妬みからでもあります。

そして、いよいよ押しつぶされるというところで、半魚人は神の力を発します。
二人は海で結ばれます。

世間から押しつぶされてしまう、少し尖った二人が、愛を成就できるという所が味噌のダークな部分に真実が反映された良作でした。


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