2015年05月03日

田園に死す 1974日 寺山修二

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日本だけに限らないかもしれませんが、
日本の田舎、貧困が残る村における閉塞感、
子が母に精神的に支配されても、子は結局のところ母を心の外には出せない、
外部環境でも、自分の中でも潜む閉塞感が表現されているような印象を持ちました。
まだ日本は豊かではないことを体感している世代では、
家長制度の名残が体に染み付いていて、心のどこかでこの映画で描かれる閉塞感を持っているのではないかと思いました。

主人公の男は、15歳と大人になってからの二人として登場します。
どちらも、女性に精神的に逆らえないように見えます。
これは、母から逃れられないのが主人公だからです。

翻って自分自身を鑑みると、私も心の奥に母親から束縛されていることを感じる時があります。
日常生活で、“これがそうだ”ということに気づくのではなく、
何か事件が起きた時の自分の心の動機を、深く考えた時に気づくのです。

非常に難しい表現の映画ですが、
主人公の心の中で起きていたことに近い心の動きが自分にあることには共感できました。


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