2014年10月28日

アンナプルナ南壁 7400mの男たち 2012西 パブロ・イラブル

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アンナプルナとは、ヒマラヤ山脈に属する山群の総称で、第1峰は世界第10位の8.091m、南壁の東稜ルートは、最も登頂が難しいといわれていて、10人中4人が命を落とすそうです。
2008年スペインの登山家のイナキが、7400mの第4キャンプで高山病に罹ります。同行していた仲間からの知らせを受けて(またはそれをネット等で自ら見つけて)、世界中のから彼を助けるために12名の登山家がベースキャンプに駆けつけます。
その時の様子を、12名の登山家が語るドキュメンタリーです。

当時の映像や写真は限られたものしかなく、映像の大半は、インタビューを受けている登山家達の日常を映しながらの彼らの声です。

イナキの元にたどり着くことだけでも命掛けの行為ですが、彼らは、知らせを聞くと躊躇なく救出のための動きをとります。その心境をはじめ、命掛けで山に登ることの彼らの心内が語られます。(そしてかなりの危険だけでなく、膨大な時間と費用も、自ら背負います)

彼らの言葉は“友人だから助ける”というシンプルなもの。そして、“助けなければ一生後悔する”とも言います。
イナキと、とても親しい者もいれば、山やキャンプで挨拶する関係の者もいます。
映画内でも語られますが、彼らは山という国の住民であり友人であり兄弟みたいなものということです。
即席で集まった仲間ですが、目的はひとつで心もひとつです。
また、自らのことを「英雄ではない」と口々に語ります。

彼らに共通するのは、真剣に生きているということです。
命を落としても決して不思議ではない山に行くためということもありますが、いつも体を鍛えています。家族に心配をかけていることも十分に解っています。(家族は自分達の気持ちは解っていないという話もありましたが)
でも山に登ることを決めているからこそ、あんなに真剣に生きれるということが伝わってきます。
後悔しない生き方をしているのです。

結局イナフは助かりませんでした。
無念でならなかったでしょう。でもそれでも手を尽くしきったことに間違いはありません。

自分はどれだけ真剣に生きているかを省みてしまう映画でした。


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