2013年07月15日

桃さんのしあわせ 2011中/香 アン・ホイ

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桃(タオ)さんは孤児でした。
13歳から60年間ある家庭の家政婦でした。
その桃さんが脳溢血で倒れました。
その時は勤めていた家庭は、息子ほどの年齢の男だけでした。
男は桃さんを看取りました。

この映画は冒頭、桃さんが60年間どんなことをしてきたかを匂わせます。
そして多分1年ほどで桃さんは亡くなるのですが、
その1年ほどの2時間で、60年間の桃さんの人生を受け止められる構成です。

なにより素晴らしいのは、息子同様に育った男です。
最後の時間、献身を尽くします。
尽くされた桃さんはこのために生まれてきたのでしょう。
もちろん暇な男ではありません。お金持ちのようですが。

現在の社会で人のために時間を使うことは、とても尊いことです。
実の両親でも、どこまで時間を使うことに心するでしょうか。

終わりがわからないから、死という瞬間がいつかわからないから、
だから、後回しにする。それは間違いではないでしょう。
でも後の祭りをいつも体験してきました。
この物語はそんな理屈はありません。

病に倒れたから、献身する。
そんなシンプルな行為です。

心が洗われる映画です。


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