2013年03月12日

アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち 2011米 サム・レヴィンソン

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複雑な家庭(一族)の結婚式の前後劇です。
まず、家族像を掴むのが大変といいますか、
家族関係も複雑なら、それぞれが皆病に罹っているので、
ハチャメチャな、傷つけ合いが終始続きます。

主人公リンは情緒不安定です。現在の夫との子供が二人、
エリオット17歳ドラッグ中毒で毒舌・支離滅裂な攻撃的な会話に突然なります。
弟のベンは軽い自閉症。
リンには離婚した夫がいて、その夫との子供が二人、長男の結婚式というのが舞台設定です。
長男の下に長女アリスがいてこの娘が自傷してしまう精神不安定な大学生です。

前夫も再婚していて、その妻がど派手で、操作主義者、リンとは全く馬が合わない。
この夫婦にも子供が二人います。

そして、リンの父は病気と認知症で救急車を呼ぶ常連、
母は介護に疲れて、この人も情緒不安定。

結婚式に集まる親戚達も口が悪いのがそろっています(まあこの程度はよくあるかな)。


そんな人たちが一同に会しての結婚式という状況設定なので、
そこで繰り広げられるやりとりが凄まじいという映画です。
サンダンス映画祭の脚本賞ということですが、確かによくまとめてあったと思います。

人には悪魔部分があって、『弱いものをみつけ、余計になじる』誰しもそんな経験はあるし、
逆もあるでしょうけれど、その応酬なんですね。

だから観ていて疲れます。
人の負の部分を、自己中心的で自己主張したがる図を描いています。

劇中エリオットが
「9.11で家族の絆(存在)を確認できた」
「結婚式ではなくて葬式なら絆が実感できる」
(だいぶ台詞とは違いますが、こういう主旨の発言でした)
とい言いますが、これがこの映画の核心でしょう。


精神的に付加がかかるのが現社会です。
リンも50年以上、一生懸命生きてきて、家族のために尽くしたのでしょう。
その結果が、自分を含め、子供達も精神を病んでいる現実です。

この家族は先進諸国の一歩先を行った家族像かもしれません。
こういう状況と折り合いを付けて生きる、
家族が存在するのが常識になるかもしれないことを示唆しています。

大変な時代の一側面をみるおもいでした。


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