2025年03月25日

3月大歌舞伎【通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)】




五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
同    二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
七段目 祇園一力茶屋の場
十一段目 高家表門討入りの場
同  奥庭泉水の場
同  炭部屋本懐の場
引揚げの場

溝口健二の「元禄忠臣蔵」をはじめ歌舞伎以外の演劇でも落語でも忠臣蔵は色々な切り口で多くの方々が鑑賞しています。ですからそれぞれに一家言の一つや二つはあるでしょう。
私もこれまでの忠臣蔵の鑑賞を楽しく、はたまた唸るような気分、また感傷的になったり、江戸時代に想いをはせたりしてきました。
それを踏まえて今回一番感じたのは、舞台を江戸ではなくて室町の鎌倉にし、役名も大星由良之助をはじめ皆変えていることを実感しました。
たかが芝居で、当時の江戸幕府にそこまで警戒することに腑に落ちることがなかったのです。
でもこの大歌舞伎では違いました。
塩谷(赤穂)浪士の忠誠は異常にも思えたのです。純粋です。一途です。それは討ち入りに加わりたい勘平や平右衛門だけでなく、彼らの家族までがです。もちろんこれまでの忠臣蔵でもそうであったのは間違いありません。
けれど娯楽と感動とを融合させた仇討、命を懸ける人たちを奨励をもしたしまうこの舞台は、危険極まりないとまで感じてしまいました。
これでは実名ではできないと思いましたが、同時に、実名ではないにしても明らかです。それを黙認していた江戸幕府を鷹揚であったとも強く感じました。
日本をはじめとしたかつての全体主義の国ではありえないだろうなとも鑑賞しながら考えてしまいました。
歌舞伎の力、底力の凄さが改めて身に染みました。


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