2023年09月28日

【国立劇場歌舞伎 妹背山婦女庭訓 <第一部>】




時代は大化の改新の頃、太宰の後室 定高の娘 雛鳥と太宰と勢力を競い合う大判事清澄の息子 久我之介は深く愛し合ってしまいます。もちろん禁断の恋です。

三幕構成で、第一幕、二幕は三幕のための仕込みです。


三幕は、雛鳥と久我之介、太宰と大判事家を隔てる吉野川を真ん中にドカンと据えて、両側に両家を配置したセットし、そして花道も二本、それぞれを家に通じているという舞台設定です。

蘇我入鹿の命は、雛鳥も久我之介も殺すと定高と清澄を殺すことです。

最愛の子をそれぞれ殺さなければならない途方もない哀しみ、それでも、あの世で添い遂げるようにさせたいという定高と清澄の心、殺されなければならないことを悟り、それを受け入れる雛鳥と久我之介、二人もあの世で添い遂げることを望みます。

その悲哀をこの舞台設定を活かして、十二分な情けの心を発散している芝居で、鳥肌者です。

情けがない入鹿がこれがきっかけで葬られることも示唆されます。

「妹背山婦女庭訓」が義太夫狂言屈指の名作と言われることに頷くばかりでした。


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