2023年01月30日

【SPAC演劇】リチャード二世 寺内亜矢子 演出




観劇後のアフタートークで、司会の方が「格式高いと思われているシェークスピアを、翻案しないで、当時のままを再現しているのにも関わらず、ちゃんと伝わっている」正確ではありませんが、話されていました。
私も同感で、そのために様々な工夫がなされていました。

「リチャード2せ」は当時人物も多く2時間20分の上演時間でも端折らなければならない多くの情報を伝えることが必須です。
そのために、舞台と観客をつなぐ案内役(永井健二さん)を置きました。またキャラクター作りも当時の貴族を当てながら親しみやすくなっています。
舞台も観客にその場面に囚われさせないシンプルでかつ機能的で、観客がそれぞれの幕にやはり入りやすくなっています。そして時折ユーモラスに振舞う。

劇自体はとても辛辣です。
リチャード王は蓮力者としての嫌な部分、ダメな部分を晒します。その王に打って変るボリングブルックもりリチャード王を反面教師としているわけではない、国のトップとしてどうなのか、という人物です。
でもそれが真実で、普遍です。
歴史にはそんな為政者ばかりではありませんが、それは、その環境に左右されている要素が大きいと、またまた感じてしまいます。

それはさておきこの“リチャード2世” 美術、照明、演技どれをとっても、とても完成度が高いSPACらしい作品でした。

印象に残った一つは“雨漏りバケツ”です。劇自体の不安な政情や人物たちの隠れた思惑の不安定さの象徴として観ていたのですが、それとは別に演出の寺内さんは、「この劇場で実際に雨漏りがあったのをヒントに、舞台と舞台外部をつなぐ役割(劇場内の舞台外にその場所に同じバケツがありました)を担わせたかった」とおっしゃっていました。
それには気づきませんでしたが、そのバケツ、とても良い効果だと思いました。
あるだけで不協和なのです。
他の気になることを消し去って劇に入り込む後押しでした。


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