2018年03月02日

【spac演劇】ミヤギ能 オセロー 夢幻の愛 宮城聰 演出

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宮城さんが描く感動的な夢幻能で、人を愛することの貴さ、信じあうことの難しさ、心の想いをは裏腹な行動を起こしてしまう人の厄介さが詰め込まれています。

デズデモーナが彷徨える幽霊となって巡礼の前に現れる前場、
オセローがデズデモーナに手をかける経緯を描いた間狂言、
そしてデスデモーナの幽霊が優麗に成仏していく後場で構成されています。

オセローはデズデモーナを絞め殺し、その後すぐにその原因となった理由のオセローの嫉妬は、実はイアーゴに嵌められたことだと解り、後追い自殺をするのですが、それがデズデモーナを死んでも死に切れない状態にしてしまいます。
愛する者に手をかけられたことに悔いは全くないことをオセローに伝わらなかったからではないか?ということがこの夢幻能の始まりではないかと、今回すごく感じました。

オセローはデズデモーナを絞め殺したことを悔いて自死しました。哀しみもあったでしょう。イアーゴに嵌められた悔しさもあったでしょう。でもデズデモーナはオセローが彼女に手をかけたとはいえ、純粋にデズデモーナを喪ってしまった哀しみで後追いして欲しかったのではないかと観ていて思えてきました。
二人ともお互いをどれだけ愛していたかは解っていたはずなのに、一緒に死ぬ事なんて全く厭わないことはお互いの気持ちであったから、デズデモーナはオセローに殺されることに何も不満も不安もなく、望むところでもあったのに、オセローは手をかけたことに後悔してしまった。
デズデモーナの心底の愛が伝わらないでオセローは死んでしまった。
これではデズデモーナはあの世にいけません。
この愛をオセローが汲み取るのがこの夢幻能で、それが伝わりデズデモーナは成仏できた。オセローももしかしたら彷徨っていたのかもしれないけれど、オセローも成仏できて、一緒に三途の川を渡っていった。それが描かれていた後場に感動しました。


二度目の観劇ですが、やはりこの後場のデズデモーナの美加里さんの仕草がハイライトで、右手の厳つい手でオセローを現し、清き白いデズデモーナの衣装と対比され、デズデモーナとオセローが一体になっていく様がとても美しいです。
これに照準を合わせて前場も間狂言もしたためられています。

そしてこれもいつものことですが、美術が素晴らしい、打楽器・和楽器が心を打つし、俳優の、今回は特に美加里さんの動きが本当に鍛えられていますした。
そして、声が重なる地謡の台詞とナレーションの効果は絶大で、感動を呼びます。
日本の言葉の美しさも感じます。

二度観れて良かったと本当に実感しました。


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Posted by いもたつ at 09:15│Comments(0)いもたつLife
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