2012年03月24日
おかあさん 1952日 成瀬巳喜男

文句なしの良い映画です。
戦後の貧しい家族が、生きていく姿です。
全体は明るい雰囲気ですが、
不幸が当たり前に起こります。
無常であることを、
目の前のことを、
受け入れるしかないなんて理屈をつけることもなく、
淡々と映画は過ぎます。
戦前クリーニング店を営んでいた夫婦が
(妻=おかあさん=田中絹代)焼け跡から
立ち直り再興します。
長男、長女(香川京子)、次女と妻の甥を預かっています。
途中夫の一番弟子がクリーニング店の助っ人で家族に加わり、
最後は丁稚が家族に加わりますが。
長男が亡くなり、夫が亡くなり、
次女は養子に出します。
一番弟子も去ります。
家族は欠けていきます。
悲しいことが矢継ぎ早です。
その代わりの幸せは些細です。
お祭り、映画鑑賞、長女の彼氏の招待のハイキング、
次女との別れる前日の遊園地。
ドラマでないドラマ、
別れの方がクローズアップされますが、
これも淡々と、だから余計にリアルです。
そんな日常を台詞でなく、
姿で語ります。
感動的でない常に感動を感じます。
ラスト近く、家族がほとんど欠け、丁稚が来た頃、
長女はそろそろ嫁ぐことを匂わせます。
それと同時におかあさんが死に近づくことも匂わせます。
それはこの映画の無常な日常の精神の余韻です。
生きる本質を考えました。
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