2016年03月23日
【SPAC演劇】ロミオとジュリエット 演出オマール・ポラス

喜劇性が強い、そして、日本的な雰囲気を取り入れてある、「ロミオとジュリエット」でした。
冒頭、悲劇で終わる物語であることが語られるという構成で、観客は事の顛末を見届けることになります。
ですから悲劇と解っているにですが、前半はそれを忘れさせるような喜劇として進みます。
まあ、モンタギュー家とキャプレット家の対立は、憎しみ合うことが目的となってしまっているわけですから、この対立自体が喜劇であるとも言えます。
そして、冒頭に登場する棺桶をはじめ日本的なものが散りばめられているもの特徴です。
衣装は和洋折衷で、舞台には神社を想わせたり、桜が登場したりします。
役者も日本人とフランス人というこれも二本がメインの多国籍という演劇どおりです。
ロミオの衣装は欧州で、ジュリエットの衣装は和服です。
多分この演劇は、演じられる場所に合わせるのでしょう。
劇はもちろん愛する二人の死で幕になります。その死には台詞がなく、ロミオ、ジュリエットそれぞれの心情を身体表現し、感じ取る事になります。
両家の和解は敢えて語られません。ここも観客が感じ取るところでしょう。
生まれた時から相手を憎む、それが染み付いている。
何故お互いが憎いのか、それ自体はどうでも良い。とても滑稽です。
その滑稽さを喜劇で表現し、それがあるからその代償の大きさが痛感できる、そんな演劇でした。