2014年01月02日
白夜 1971仏 ロベール・ブレッソン

ブレがない映画です。
ロベール・ブレッソン独特の演技がない映画は、引き込まれます。
ワンシーンの意味を深く追ってしまいます。
物語は単純です。
一年前にパリのポンヌフで再会を約束したカップルがいて、
待つ女(マルト)も下に男が現れません。
マルトが自殺を決意した所に、通りがかったのが主人公ジャックです。
当然自殺を思いとどめます。
そこからのジャックの悲恋物語です。
ジャックの日々を語り、マルトの過去を語り、
二人が惹かれていく様を語るのですが、
そのすべてのシーンが思わせぶりです。
説明は最小限、観る者が汲み取るかです。
説明は最小限ですが、設定はわかりやすいので、
ミスリードされるようなことはありません。
それだけに、シーンの意味を探りたくなるのですが。
物語の骨子は、「古今東西、愚かな男が存在する」になり、
男として思い当たることが一杯ですが、
この映画は女心の表現が出色だと感じました。
マルトの仕草と台詞は一見単なる我侭娘ですが、
一線を越える越えないで揺れる彼女の心を映します。
ラスト、主人公は結局良い夢を見た。で終わるのですが、
打たれ強いのか、鈍感なのか、すぐに忘れてしまうのか、
日常に戻ります。
観客を映画から平常に戻すように。