2013年06月23日
預言者 2009仏 ジャック・オディアール

19歳で刑務所に入った男が主人公です。
刑期は6年、その時間に成長していくという物語です。
この刑務所、日本の常識でとらえてはいけません。
酒、タバコはもちろん、携帯電話からテレビ、
刑務所内で成りあがれればの話ですが、
個室でそれらが楽しめます。
それどころか、女に麻薬まで、手に入ります。
そして模範生になれば外出もできます。
繰り返しますが、刑務所内を牛耳っている組織のトップの待遇です。
それと大事なことを付け足します。
所内での殺人もありの世界です。
主人公は入所早々に組織から殺人を強要されます。
殺人を行わなければ、組織から彼が殺されます。
主人公がその任務を決行するのが、冒頭からの一区切りですが、
このシーンが凄惨でリアルです。
彼の6年間の始まりです。
任務に応えた彼はこれをきっかけに地位を築いていきます。
無知な青年に教養と、暴力と、無慈悲な心が育ちます。
組織は一党独裁ですが、拮抗しようとする勢力があります。
彼はそれらを渡り歩き、最終目標は組織のトップを落とすことです。
冒頭からの暴力シーンから目が離せなくなります。
そして主人公の成長、これが真っ当な面と真っ当でない面を含む成長で、
素直に感情移入はできません。
それと腐敗の社会を誇張したようなシーンも多く、
映画にノルという感覚ではなく鑑賞です。
展開は読めますが、演出は骨太です。