2024年04月30日

【SPAC演劇】かちかち山の台所 石神夏希 演出







spacの舞台芸術公園は、日本平の中腹にあります。そこにはお茶畑もありますが、自然も残っていて原生林もあります。その舞台芸術公園周辺を“かちかち山”にみなして、麓をおじいさん、おばあさんの農家とみなして、化けた狸やウサギ、そしておばあさんが茶畑、お寺、柿の果樹園、野菜畑に出没します。観客はかちかち山から降りて狸たちがいる寺や畑に行き、彼らの動向(演技)を探りに行くという演劇です。

麓に降り、散策し、また登るという2時間の行程はちょっとしたハイキングで、要所要所で狸たちに出くわします。
そして何故、狸が捕まったのか、狸はおばあさんを騙し、婆汁にしたことは罪のなのか、を、狸の立場、ウサギの立場、おばあさんの立場から検証する=彼らの言い分を聞くというのが骨子です。

飄々とした狸は、騙したことも悪戯もそして捕まって食べられてしまうことも、それは生きているからこそと、狸は飄々と言い放ちます。妙に説得力があります。
ウサギも我が道を行くと言いながら、自然の獣たちと人間との折り合いの付け方に一家言ある様子です。
おばあさんも騙されたこと、食べられてしまったことに怒りも悲しみもあまりなく、節理だから仕方なしという立場です。

そして狸たちは音楽のパフォーマンスでももてなします。スタッフも、当時も想わせる“粟餅”や“豆ごはん”“狸ではない鳥汁”でもてなしてくれます。
大人も楽しめる、運動が入ったお伽話の世界を演出してくれました。
  


Posted by いもたつ at 11:00Comments(0)いもたつLife