2013年12月30日
ペコロスの母に会いに行く 2013日 森崎東

高齢の認知症の母親と息子とが織り成すほんのり喜劇です。
母の子供の時代の終戦前後、
息子を生んでからの苦労した時代が挟まれていて、
家族の歴史を振り返ります。
原作者は息子さんで、その実話がベースの映画化です。
母の人生で大事な人達が紹介されていて、
息子が母の人生に拍手を贈っています。
誰もが体験している日常が写るだけ、
特別なドラマがあるわけではありませんが、丁寧な描写は、
感動になります。やっぱり人の一生は尊いと思わずにはいられません。
もう母と別れてしまった人達、
お互いが高齢でもう別れが近い人達、
母は人生を振り返りそれらの人達との思い出を空想しますが、
それは自分と関わった人達も肯定しています。
また、認知症が進み、息子は自分が忘れられてしまっていることを嘆きます。
でも、それをも受け入れるのですが、
きっとそれすら人生の一部として腑に落ちたからでしょう。
きっと忘れてしまっていることなんて二人の関係のちっぽけな出来事でしかないと、
それが親子の関係で、美しい姿です。
高齢化、認知症、ごく身近な悲劇になりそうな題材を喜劇として扱うのは、
人の可能性の示唆です。
誰もが老います。それに対して勇気を与えてくれる映画です。